3話:ネオンカラーの部屋

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 その点梗慈の部屋は、繁華街の中にあるからネオンが何時になってもキラキラギラギラしているが、そこそこ広い。  男の一人暮らしで2DKはないやろう、と初めて家に行った時に思ったのは内緒の話だ。いくら片田舎の繁華街で、家賃なんて都会の半分くらいだろうと思っても頂けない。 「お前、まさか誰か連れ込むために広い部屋借りたんじゃないわな」 「あほ」 「しかもなんで2DK? 1LDK違って」 「たまたまや。 予算と場所と1日の内どの時間に出入りしても誰も文句言わんやろう、って探したらこうなっただけや」 「そしたらわざわざ来年あえて探さんでもよくないか? お互いそんなに部屋に居座れるわけでもないし、俺も店までここの方が近いし」 「そうか? はっきり言ってこの辺りは夜中でもうるさいぞ」  梗慈は少し心配そうに俺を見た。  別に田舎にこだわってあの町に住んでいたわけではない。もしかしたら梗慈に会えるかもと未練がましい気持ちがどこかにあったのと、梗慈とのつながりが切れてしまうのが嫌だっただけだ。 「大丈夫大丈夫。 もしやっぱりあかんわってなったらその時に探せばいいし」 「わかった」 「そしたらちょっとずつ引っ越ししようかなあ」 「無理すんなよ」 「OK、OK」
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