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君は少し顔を赤らめて、僕の想いを受け止めてくれたね。
「好きでいてくれてありがとう、神谷雅也君」
記憶から失った声を聞くと、僕の胸の辺りが無性に苦しくなった。
そして僕の心は、波が打ち寄せるように再び君で満たされていく。
やはり君が好きだ。
やはり僕には君が必要だ。
だからと言って、婚約者から君を奪おうとは思わない。
だから君に問う。
「これからも好きでいて良いですか?」
君は返事に戸惑っていたね。
それでも答えてくれたね。
「あなたが救われるなら」
十分過ぎる答えだった。
あの日、君から受け取ったハンカチは僕の愛の証となった。
あれから随分と時間が過ぎた。
君は幸せでいるだろうか?
家族が増えたのだろうか?
会えない君を想い続ける日々。
告白してから5年が経った今でも、僕は1人でいる。
君に言った通り、僕はずっと君を好きでいる。
でも幸せだ。
想いが伝えられ、君を好きでいられる事を許されたのだから。
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