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幸希の好み。
それは意外かもしれないが、ちょっとクセのある男性であった。
別に、変人が好きだというわけではない。ただ、なにか不思議な趣味を持っていたり(過去に交際していた男性は、大きなトカゲなどを飼っていた)、思い立ったからというだけで、ふらりと身一つで沖縄まで飛行機で飛んでしまったり。そういうひとのほうが「おもしろいな」「もっと知ってみたいな」と思ってしまうのであった。
けれどそういうひとにはなかなか出会えないし、前述のとおり、出逢ったとしてもうまくいかずに終わってしまうのである。こういうのは高望みなのかなぁ、と友人に相談したこともあるのだが「そうでもないんじゃない?」などと言われて終わる。
「結構そういうひと、いると思うよ」
「イベントとかだったら会えるかもよ」
「サークルとか入ったら? ちょっと変わった趣味のさぁ」
そう勧められるのだが、あまり気も進まない。貴重な休日をつぶしたくなかった。
つまり、恋愛に関してあまり積極的ではないのである。こんなことではいけない、とは思うのだが。結局なんの出会いもない、会社との往復になってしまっていた。
出会いはないけれど、幸希が『貴重な休日をつぶしたくない』と思うような趣味はある。
それは和服に関すること。たとえば和服で出掛けたり和雑貨のお店に行ったり、あるいはアンティーク着物を見に行ったりすることだ。
アンティーク着物に関しては、専門に取り扱っている店のほか、小さな催事やイベントなどがおこなわれることもある。
アンティークだけあって、もちろん気軽に購入などはできない。けれど、眺めているだけで楽しいものなのだ。
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