学校の先生に間違いはない。と思っている節がある。

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学校の先生に間違いはない。と思っている節がある。

「......それで?今朝何かあったの?春君も早めにおウチ出たんじゃないの?」 ほっ、春君呼びに戻ってくれた。どうやら姉貴として話を聞いてくれるらしい。 ただ......本当の話をするわけには、やはりいかない。姉貴にはもうこれ以上負担をかけたくないのだ。 俺は昔、いじめられていた。 4年前の話だ。___いや正確にはいじめではないのかもしれない。ちょっかいをかけられて、それがすこしばかりエスカレートしてしまったのだ。 俺自身は別に苦ではなかった。たかがちょっかいだと割り切ることもできた。俺1人ならば。 俺と一緒に居た女の子にまでちょっかいが及ぶようになったのだ。それが我慢ならなかった。当時の先生が止めなければ、もう少しで喧嘩になるところだった。 そしていじめ問題として大きくなり、親の居ない俺の保護者代わりとして姉貴が呼び出された。 その頃の姉貴は、神山高校への赴任が正式に決まり、準備や研修と大忙しの時期でもあった。 かたや保護者として責務、かたや先生になるための準備。その時の姉貴の心情は計り知れない。 その後いじめ問題も収束し、俺たちへのちょっかいは激減した。 しかし、一緒に居た女の子。茜とは疎遠になってしまった。 それでも普通に高校生活を送れるのは全て姉貴のおかげなのだ。 「ああ、早く家を出たよ。商店街で寄り道してたんだ。」 ごめん、姉貴。絶対迷惑はかけないから。 「______はぁ。危ないことはしないのよ?約束できる?」 「あ、ああ。約束するよ。」 嘘だってばれてる。......昔から嘘つくの下手なんだよなぁ、俺。 「はいっ。じゃあ遅刻の件はこれで終わり。次。」 「で?コレは何?」 俺の進路希望が書かれたプリントを指でトントンしながら姉貴、いや、神崎先生が俺を見る。 「え~っと~ですねぇ......。」 汗が噴き出してくる。どうする?どう誤魔化す。 「先生本当に心配してるんですよ。神崎君は将来何をしたいの?」 正直、想像出来ないのだ。 俺は数年後一体何をやっているのか。進学している?仕事をしている?それとも......。 それでも今やらなくちゃいけないことなら、ある。 あの子。夏樹君を救うこと。
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