ゴッド イン ザ クレープリー

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「で、どうだった、神様のクレープは?」  店の外に出たところでようやく魔法が解けて、僕はずっしりと重くなった胃袋を撫でながら答えた。 「悪魔の間違いでしょう? おかげさまで今夜は胃薬が必要でしょうよ」  あんな暴力的にうまいもの出されたら、僕の理性なんて何の役にも立たない。胃もたれすると分かっているのに、近いうちにまたこの店に吸い寄せられる僕の未来が目に見えるようだ。 「なんてもんを教えてくれたんだあんた……」 「あらそんなの簡単な話よ、食べ過ぎた分だけカロリー消費して帰ればいいんじゃない?」  艶然と微笑んだカナコさんのくちびるに目が釘付けにされて、僕はぽかんと口を開けて立ち尽くす。 「え……それ、どういう……えっ、ちょっと待っ」  口紅がはげたカナコさんのはだかのくちびるが近づいて、あわてて目を閉じた僕の耳元でカナコさんが低く囁いた。 「だから、歩いて帰ればいいのよ? ここならざっと十キロは歩けるんじゃない?」  悪魔のクレープでメタメタになった僕の脳がその言葉の意味をようやく理解した時には、カナコさんはすいっと僕から離れて颯爽と歩き出すところだった。
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