ゴッド イン ザ クレープリー

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 なんだか会話の流れに妙なねじれを感じて問いかけた僕に、カナコさんはコンとハイヒールを鳴らしてニヤリと笑った。 「駒沢通り沿いよ。まあ最寄り駅は学芸大とかかな」 「……は?」  いろいろな感情をひらがな一文字に込めに込めた僕に、カナコさんは長い髪を翻して真っ白なパンプスで颯爽と歩き出した。 「ほら、さっさと歩かないと日が暮れちゃうわよ!」 「いやそれさっさと歩いたって暮れますよね? ここどこだと思ってんですか、電車乗りましょうよ。すぐそこJR……いや、タクシーでもいい。タクシー代僕出しますから、ねえ、カナコさん? カナコさーんっ?」  慌ててカナコさんの背中を追いかけながら、こっそり僕はグーグルマップで学芸大までの所要時間を調べた。タクシーで十五分、電車だと乗り換え有りで三十分、そして徒歩は四十五分と表示されていた。
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