ゴッド イン ザ クレープリー

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 夕暮れの街を歩きながらずっとお見合い相手の男のセンスが一から十まであり得なかったという話を聞かされて、僕は適当に相槌打ちながらへえこんなところに自衛隊の幹部学校あったんだ全然知らなかったなあとかこの坂えらく急だけど鍋が転がるからなべころ坂って言うんだふーん、なんて思っているうちに、ようやく目的の店に到着した。  グーグルマップは偉大だなあと思うのは、所要時間が四十五分と書いてあったらほんとに四十五分きっかりで到着するところだ。  やっと食べられるんだと息をついた僕を見透かすように、カナコさんはニッと笑って口を開いた。 「先に言っておくけど、ここ、神様がいるから」 「へ? どういう意味ですかそれ」 「そのまんまの意味よ」  楽しそうにそんなことを言いながら勝手にドアを引き開けて、カナコさんは店の奥に「こんばんはー」と明るい声を投げかけた。
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