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その意味では、東丈は”超常現象と結婚した”というところなのかもしれない。
「だから・・」
「失せモノ、見つけ出す魔法とか無いですか」不意に美恵子は言った。
「だから、超能力は魔法じゃないんだってば・・む、失せモノ?何か、探し物があるのかい?」
「ええ、おじ様。東明会とでんでん虫のコネクションを証明する武器が、この都内に隠されているはずなんです」
「東明会の本部じゃないのか?」
「今日び、ヤクザ屋さんでも、そんな分かりやすい場所には隠しませんよ。傘下の組事務所とかにも、ね」
「といわれてもなあ」
「そこを、なんとか、なまんだぶ、なまんだぶ」
「だからあ、捜査を駆使して、だねえ」
「行政サイドから妨害が始まっているんです」
「悪徳議員とか?」
「ええ、誰とはいえませんけど、東明会から賄賂をもらっているとしか思えない奴がいて・・」
「誰なの?」
「江田四郎・・あ、しまった」
「え、あいつが?」
江田四郎、丈の高校時代の同級生。数少ない友人だったが、丈が野球部でレギュラーの座を逃して退部して疎遠になってしまった。初戦敗退ながら、弱小青林学園野球部が唯一甲子園に行ったときのレギュラー。高校離れした徹底したデータ解析野球で話題になった。
夏の甲子園の後退部、学業に専念し、東大を経て大蔵官僚になり、時の与党の大臣に見出され退官し国会に出馬した英才。
「ええ・・表向きは、綺麗なものなのですけど、なにしろ長年政権を握る巨大野党の伏魔殿の中を渡り歩いているわけで、それくらいのことができなければ、ビックにはなれないわけで」
「たいしたものだね」
かつての東丈の夢の体現者だ。大臣を経験し、上手くすれば総理に上り詰める可能性もささやかれはじめている男。しかし、そのためには金が掛かるのだ。逆に言えば、それを集めることが出来るから、彼にそういう下馬票がうまれることになるというのが、世知辛い現実なのだ。
「でも、証拠物件が押さえられれば、話は違うわけで」
「千里眼とかを期待しているわけだね」
「おじ様のお知り合いに、そういう能力者のひといませんか」
「居ないわけじゃないけど、海外だからなあ」
「あたし、英語苦手なんです」
「そういう話じゃないでしょ。うむ・・」
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