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『 』
耳をつんざくようなサイレンが鳴り響く。午前6時、この世界の人々が起床する合図だ。
一人の少年が薄っすらと目を開けて窓の外を見やると、小雨が降っていた。んーっとひとつ伸びをして上体を起こす。
「......今日はサカサマの日か」
ベットを降りることなく、寝間着を脱ぎ捨てる。日課である体温測定と軽い心音検査をして、ゆっくり着替えて白湯を飲む。
機械じかけの無骨なベットは、少年が何もしなくても大抵のことはしてくれる。このままでは自分は怠け者になってしまうのではないか、ということは考えない。
いつの間にか世界はこうなっていたのだ。
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