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きれいな部屋は何もないように見えるが、一応片づけてあるからで、ちゃんとした資材はあるんだけれど、もう離せ!
「いたい」
「あ、ごめん、細いのな、腕」
離された腕をさすった。
ごめん、真っ赤になった、そんなに強く握ったかな?
首を振る、かゆいよ。
また外を見ている、そろそろ先生が来る。というか、ここにいると…
それより早く準備しなきゃ。
ガラッと扉が開いた。
キャー智也がいるわ!
キャー
すごい歓声、やっぱりな。
その場を遠回りに、今入ってきた人たちの波の一番後ろに隠れる。
「なんであんたがいるの!」
ちっ、と舌打ち、いやそうな顔にマスクをかけた。
「藤崎さんに呼ばれたー」
藤崎女史、美術部の部長三年生の一番美人、生徒会長。
私のあこがれ・・・
ふっと隣を通る、先輩のいい匂い。そのまま目で追った。
長い髪をすっと手でかきあげると、シャンプーの匂いだろうか、いい香り。
くっせーな、何つけてんだよなんて言ってる。
は?この匂いがわかんないの?信じらんない!
「うるさいわね、ここにきてるってことは、いいのね!」
腰に手を当て仁王立ちの先輩、かっこいい!
「いいってなんだよ。何するんだ?」
聞いてないのかよ、大丈夫か?
一応説明はしているけど聞いてるのかよ、誰か探してるのか?辺りをきょろきょろ見てるし。
「森脇は?」
「何森脇先輩も?」
「当たり前」
先輩来られました。その声に、団子になっている女子たちが中央の道を開けた。
まるでざっと分かれる音がしそうな勢いに目が点。
「お、近藤じゃん」
入ってきたのは、またしてもキラキラとオーラを撒きちらいている、さっきまで下を歩いていた御仁、その後ろからもまたキャーキャーと言われながら入ってくる人はジャージ姿だ、こいつも二年、みんなに隠れるように小さくなった。
また先輩は説明しているけど、なんかな、このままこの群れの中に溶けてしまえたらいいのにな。
「なんだよー」
「めんどくせーな、お、何、中村じゃん」
小さくなっている人にやっと気が付いた。
「うす」
小さな声になんかなぁ。
「さあ、学園のトップスリーよ、みんな準備して!」
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