男なんて大嫌い

3/14
前へ
/58ページ
次へ
 隣の教室にはある程度準備がしてある。ガタガタと、キャンバスやスケッチブックを準備する先輩方。 「ほら、ぼっとしない」 すみません!部長の準備ができていないわよと言われた、準備してある、そこには違う三年生が座っている。 「あ、あの、これ、藤崎部長の」 「なに?ここじゃないの!」 「すみません、今すぐ準備します」 美術部員は女子ばっかり、それもたかびーの先輩方ばかりでほとんどが幽霊部員、後輩はみんなやめちゃった。 残っているのは二年の私だけ。 「ほら急いで、時間ないんだからね」 三人がモデル みんなはため息交じりにそれを書き始めた。 「スナップはどうしますか?」 と藤崎先輩に聞いた。 「そうね、一応、ぐるっと取っておいて」 デジカメで、モデルの写真を撮っていく。なんでこっち見るのよ。 ちょっと怖い、近藤はずっと私を目で追っているような気がして、目をそらした。 ズデーン! 何かに引っかかって転んだ。 くすくす笑う先輩。 足に引っかかった。 「痛いなー」 「すみません」 「どんくさいんだから」 「じゃまよ」 ガン! キャッ! ガシャン! 一番前の先輩の三脚を蹴り倒した近藤。 「やめようかな」 近藤はそう言った。 走ってその先輩のところへ、すいませんと頭を下げながら、片付け。すみませんでしたと近藤にも頭を下げ、また、写真を撮る。 みんなきれいな人ばっかり、私みたいに、もっさりして、分厚い眼鏡をかけるような人はいない。目立ちたくないのにな、なんでか貧乏くじ。 私もやめようかな・・・ 別に、絵はどこでもかけるしな、ただ、ちゃんとした大会に出してみたいだけなのに… この学校に入ったのがそもそも間違いだったんだろうな。 きゃぴ、きゃぴした時間が終わり、一人で片づけた、もう八時。 「ハ~、やっと一人になれた」 スケッチブックを出し、書き始めた。 シュッ、シュッと静かな中に、鉛筆の音が響く。 この静かな時間がすき、自分の世界に入れるから。 「へー、うまいじゃん」 へ?あ?誰?  振り向くとそこには、中村がジャージ姿で立っていた。 「お前さ、そのメガネ、伊達?」  思わず頭の上にあった眼鏡をかけた。 すっと外された。 「返して!」 「なんでだよ、お前、かわいいじゃん、なんで顔隠すの」
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加