男なんて大嫌い

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 朝五時から学校に来ているのは私だけ、まだ空いていない入り口、唯一開いてる、事務員が入る、職員の通用口。 「おはようございます」 おはよう、今日も早いねと言いながら、セコムのカードを取り出し機械に入れる。 ピッと音がするとギ~ガシャンと鍵が開く音がした。 扉を開けると靴をもって中へと入る。 職員室の前でまたカードを入れる。 「何かお手伝いしますか?」 「悪いね、ついでに玄関開けてくれるかい」 はいと言って、靴をもって玄関へ、上履きに履き替え、玄関の四つある扉の下にあるカギの解除をして、ドアの中央にあるカギをあげると両側が開く扉となる、それを繰り返しみんな開ける。 誰もいない校庭、朝の澄んだ空気と、まあ、ここだけは独特なにおいだよね、なんて。 カバンを教室において、コンビニの袋をもって、美術室に向かう。 美術室、昨日の続き。 朝は誰も来ない、予鈴が鳴るまで、私の時間だ。 昔は、先生方も当直があったんだけど、今はセコムに頼んでいるから、夜遅くても十時には、先生方は外へ出る、朝だけは、長年いらっしゃる、牧田さんという事務員さんがセコムを解除してくれるんだ。 学校が、まるで息をするように、人の声でざわついてくる。 最初に耳にするのは野球部の朝練に来た生徒のあいさつ。 おはようございます! そして、バッティング練習が始まるころから、だんだんと大きな音となって校舎は大きな生き物のように呼吸をしはじめる、先生たちの車が着始めたころ、時間となる。 ガラッと音がしてドアが開いた。 「おはよう」 「おはようございます」 「どうだ、作品はできそうか?」 「私なんか、まだです、もっと書かないと」 どれ見せてみろと、美術の先生が見てくれる。 ここはこうしてとアドバイス。先輩たちがいないこの時間が私にとっての優位いつの時間だ。 キンコーン。予鈴が鳴り始めた。 「時間だな」 「はい、これ、田中先生好きだよね」 缶コーヒーを一本渡した。 「おー、サンキュー、それじゃな」
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