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「え? うん。珍しいじゃん。瑞希が雅ちゃんの話なんて!」
俊一の目が輝いた。その表情を見て瑞希は期待した。今から自分が話す内容を聞いて、俊一がどれだけ喜ぶのか。瑞希の顔が自然にほころぶ。
「実は私、彼女と同じ保育園だったの」
「は?」
俊一の目が丸くなり、童顔ぶりが更に強調される。
「こないだ卒園アルバム見たら発覚してさ」
「ほ、本当なの!?」
そこで瑞希は、スマホで撮影しておいたアルバムの画像を見せた。
「この写真、テレビでも紹介されてたでしょう? 見たよね? あの番組」
「見たけど! え、え!?」
混乱を隠せない様子で、頭に手をやっている俊一を見ながら瑞希は続ける。
「でさ、住所が載った名簿もあったの。私達と同じ高校生なら、実家暮らしだよねきっと」
「ちょっと待って」
俊一は右手で制止するポーズをとった。
「何、どうしたの?」
「もう、それ以上言わないで」
「え?」
瑞希はなぜ俊一が拒否するのかわからなかった。
「知りたくないし、聞きたくない」
どうして。喜ぶと思ったのに。と思ったその時。
「……だって、瑞希がもし知らない男に住所知られたらどう思う?」
その言葉を聞いて、瑞希は返す言葉が見つからなくなった。
「……そうか、そうだよね」
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