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急に自分の行動が恥ずかしくなり、俯いた。俊一の気を引きたいがための、自己中心的な行動だと気がついた。
「ごめん。考えが甘かった。うまくいけば、会えるんじゃないかってことまで考えてた」
「僕は遠くから見守るだけで十分だから。第一、雅ちゃんは会っちゃいけない存在っていうか。実物目の前にしたら死んじゃうかもしれないし」
「死ぬ?」
「僕、今まで一回しかライブ行った事ないんだけど、その一回でわかったんだ。このままライブに通い続けたら体もたないって」
「はぁ……」
「危うく過呼吸になりかけて、正直記憶も曖昧で。とにかくそのくらいヤバイわけ、雅ちゃんは。僕は長生きして応援し続けないといけないんだから、寿命縮めるようなマネしちゃいけないって悟ったんだ。だけど、やっぱり見に行きたくて、何度もチケット取りたい気持ちになったけど、今ようやく落ち着いて応援できるようになってきたんだよ……」
何も返せない瑞希を見て、俊一は付け加えた。
「気持ち悪いって思うよね……。でも瑞希はいつも『Kashin's』の話聞いてくれてるから、ほんと、嬉しい。他の人には、何言われるか怖くてこんなに晒せないから」
「ふっ」
次の瞬間、瑞希の 口許から笑いが漏れた。
「そっか、私だけか。じゃ、これからもずーっと話聞いてあげるよ!」
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