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でも、確かに葉山の声がいつもと違って聞こえるような気がする。
雨の音でうるさいはずなのに、いつもより澄んで聞こえると言うか。
でも自分の声がどうなのかはよくわからないなぁ。
「ねぇねぇ、私の声も美声に聞こえてたりする?
自分じゃよくわかんないんだけどさぁ」
「っ!」
ぐいっと顔を近付けると、驚いたらしい葉山が急に足を止めた。
そのせいで私は傘から出てしまい、一気に豪雨の洗礼を受けてしまう。
平たく言えば、全身びしょ濡れ。最悪だ!
「ぎゃーっ! ちょっと葉山、なによ急に!」
慌てて傘の下へ戻るも、葉山はまだ硬直したまま。
……え、なに? そんなに変なこと言った?
「あ、あのぉ……葉山?」
「……おまえさぁ」
「は、はい」
ようやく動き出した葉山が目を合わせてくる。
不機嫌そうなその顔もかっこいいよ!なんて言ったら怒るか、怒るよね。
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