相合傘

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しかも運の悪いことに(幸運なのかもしれない)、一年から三年までずっと同じクラスときた。 普通ここは俺のこと好きになるだろ!? ずっと同じクラスの奴なんて片手で足りる程度しかいねーよ!? 情けないことに自分から告白なんてしたことのない俺は、向こうから動き出すのをずっと待っていた。 そろそろだろ? そろそろ俺のこと好きになるころだろ? 「ねぇねぇ葉山! あんた、英和辞典持ってない? 友達が忘れてきて困ってるんだけどぉ」 「葉山! 昨日のドラマ見た? ほらー、刑事もののやつ!」 「いやぁ、あんたの顔ってほんとに完璧だよねぇ」 なーんて期待してたのが馬鹿でした。 確かに俺からあからさまなアプローチをしていたわけではない。 けれど、彼女はあまりにも俺のことをそういう対象として見ようとしないのだ。 するとどうやら、彼女にはべつに好きな男がいることがわかった。 なるほどな? それなら俺のこと好きにならなくても仕方ないな? ……と、諦められたらよかったのだが。 恋心というものはそう簡単に消えてくれないらしく、逆にどんどん拗らせていくばかり。 何人もの愛の告白をすべて断ってきた高校生活は、残すところ一年を切ってしまっている。
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