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はっきりと言葉で示すと、ますます目を丸くして硬直してしまった。
かと思えば徐々に顔が赤くなっていき、忙しなく目が泳ぐ。
「えっ……な、なにそれぇ?
もしかしてなにかの罰ゲーム? 誰かついてきてたり……?」
半笑いを浮かべつつ本当に後ろを確認しようとするので、その前に腕を掴んでじっと顔を見つめた。
コンプレックスだと言っていた瞼は綺麗な一重で、俺にとってはそれがかわいくて。
さらさらすぎて逆にセットがしにくいと言っていた髪は染められることなく真っ黒で、やっぱりとても綺麗だ。
あぁ、前言撤回しなくちゃいけないな。
特に美人でもないと言ったけど、俺にとってこいつはすごくかわいい女の子だ。
「罰ゲームなんかじゃない、本気だよ。
俺はずっと……一年のころからおまえのことが好きだった。
……いや、」
腕を掴んでいた手で肩を抱き寄せ、彼女の耳元ではじめて下の名前を囁く。
雨の音がうるさい。
でも返事をした彼女の声は、いつもより澄んでいて俺の耳から脳へ届き、そうして溶けていった。
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