ないものがたり ＝夏臥師家ふしぎ恋愛譚帳＝

秋＊おわるしかないものがたり

考えもしなかった結婚の幸せ
避けて暮らしてきた子を持つ幸せ

彼と居ることで得られたのは
幸せについて考える自分と
偽物だけれど身に余る幸せ

彼がもう此処に居なくても

その幸せは確かにあったのだと

私だけは　一生忘れずに
少しだけ濡れた落ち葉道
此の人の手を繋いで歩いていく