雨の日

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「今日も雨だね…」 「毎日、良く降るよねえ…」 放課後、私は優子と外を見ていた。 教室には、私と優子の二人だけ… 「雨って良いことないね~」 優子が気だるそうに言う。 「髪の毛まとまんなくなるし~…制服、湿っぽくなるし~…」 頬杖をついたまま、ウンザリした顔… 「泥も跳ねるし…」 私はそんなダルそうな、優子に話をあわせる。 「部屋も、湿っぽくなっちゃうしね」 「そうそう~なんかベタ~って感じに、なっちゃうんだよねぇ」 シトシト…そんな音が似合いそうな雨。 「お菓子とかも、置いておいたらカビちゃうもんね」 「そうそう…」 そこで優子が『あっ!』って顔をした。 何か思い出したみたい… (本当に、お菓子とか取っておいたのかな…?) そんな事を思ったけど… 「昨日。青いカビのチ-ズ食べたんだけど…あんまり美味しくないんだねぇ」 全然違うことを言うものだから、私は思わず笑いだしそうになるのを堪えた。 「そうなんだ?なんていう、チ-ズだったの?」 「…覚えてな~い」 本当に美味しくなかったのか、ちょっと拗ねたみたいな顔をした。 「ん~でも、ゴルゴンゾ-ラだっけ?あれは美味しいと思うよ。」 この前、どこかのレストランで食べたパスタを思い出してみる。 たしか、ゴルゴンゾ-ラも青いカビのチ-ズだったはず… 「どんな味だった~?」 「んっとね…」 ちょっと天井を見上げながら、思い出してみる… (美味しかったのは覚えてるけど……苦くはなかったね… あ、ちょっとピリッってしてたかも…) 曖昧な記憶から、それっぽい記憶を選んでみる。 「多分だけど…ちょっと…辛かったかな…?」 「へ~~」 「パスタにしちゃうと、苦くなくなるのかも」 「由美は大人だねえ…私、辛いのも嫌い~」 「優子がお子様なんだよ。」 そう言って、ぷっ!と笑いあった。
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