0人が本棚に入れています
本棚に追加
「今日も雨だね…」
「毎日、良く降るよねえ…」
放課後、私は優子と外を見ていた。
教室には、私と優子の二人だけ…
「雨って良いことないね~」
優子が気だるそうに言う。
「髪の毛まとまんなくなるし~…制服、湿っぽくなるし~…」
頬杖をついたまま、ウンザリした顔…
「泥も跳ねるし…」
私はそんなダルそうな、優子に話をあわせる。
「部屋も、湿っぽくなっちゃうしね」
「そうそう~なんかベタ~って感じに、なっちゃうんだよねぇ」
シトシト…そんな音が似合いそうな雨。
「お菓子とかも、置いておいたらカビちゃうもんね」
「そうそう…」
そこで優子が『あっ!』って顔をした。
何か思い出したみたい…
(本当に、お菓子とか取っておいたのかな…?)
そんな事を思ったけど…
「昨日。青いカビのチ-ズ食べたんだけど…あんまり美味しくないんだねぇ」
全然違うことを言うものだから、私は思わず笑いだしそうになるのを堪えた。
「そうなんだ?なんていう、チ-ズだったの?」
「…覚えてな~い」
本当に美味しくなかったのか、ちょっと拗ねたみたいな顔をした。
「ん~でも、ゴルゴンゾ-ラだっけ?あれは美味しいと思うよ。」
この前、どこかのレストランで食べたパスタを思い出してみる。
たしか、ゴルゴンゾ-ラも青いカビのチ-ズだったはず…
「どんな味だった~?」
「んっとね…」
ちょっと天井を見上げながら、思い出してみる…
(美味しかったのは覚えてるけど……苦くはなかったね…
あ、ちょっとピリッってしてたかも…)
曖昧な記憶から、それっぽい記憶を選んでみる。
「多分だけど…ちょっと…辛かったかな…?」
「へ~~」
「パスタにしちゃうと、苦くなくなるのかも」
「由美は大人だねえ…私、辛いのも嫌い~」
「優子がお子様なんだよ。」
そう言って、ぷっ!と笑いあった。
最初のコメントを投稿しよう!