鬼のインストラクター

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「体重のわりには体脂肪はそこまで高くはないし、筋肉量もそこそこはあるな」 それなのに健太はというと、そんな私のテンションなんてお構いなしに話を続け、ウォーキングマシンの使用方法まで慣れた口調でペラペラと話してくる。 「っていうかさぁ……インストラクター云々の前に私は幼なじみなわけじゃん?その幼なじみが測定後にこんなにも落ちてるっていうのに…あんたには優しさってもんがないわけ?」 淡々と話を進める健太に少し苛立ってしまい、気が付けばそう口にしてしまっていた。 「つーか、あんたじゃなくて健太だから。そこ、気をつけろよ」 はっ、腹立つー! 「あと、幼なじみだろうがなんだろうが俺はここではお前のインストラクターだから。甘えたことばっかつべこべ言ってないでとりあえず1時間歩け。 話はそれから聞いてやる」 健太はそう言うと私を無理矢理ウォーキングマシンの上に押し乗せると、慣れた手つきでボタンを操作し始めた。 すると、いきなり足元がぐらっと動き始めて。 「ほら、早く歩け。歩かないと後ろに下がってくからそのまま転けるぞ!」 健太は意地悪そうな声で私に歩くように諭した。 もうっ! せめてもうちょっとくらい話を聞いてからにしなさいよ。 なんて思いながら、歩き始めたウォーキングマシンの上で私は気付く。 話を聞いていた通り、こいつは本当に鬼インストラクターなのかもしれない。 ジムデビューの初日早々。 ここに入会したことを、私はすでに後悔し始めていた。
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