1415人が本棚に入れています
本棚に追加
こんなにも疲れきっている姿を健太に見られたら、また何を言われるかわからない。
それに、ウォーキングが終わったってことは次は背筋トレーニングだっけ?……もうそんな体力ないんですけど。
周りをキョロキョロと見渡した私は近くに健太の姿が見当たらないのを確認すると、そっと立ち上がりジムのフロアをあとにした。
そしてコッソリと更衣室へと向かってうまくいけば帰ってやろう…なんて思っていたけれど。
えぇーーっ??な、何で??
更衣室の手前にある受付カウンターの前で私は信じられない光景を目撃してしまった。
何で…あの男が…?
どうしてあの男と健太が仲良さげな雰囲気で笑い合ってるの?
目に映る光景にとにかく驚いてしまった私は、出てきたばかりのジムのフロアへ戻ろうと静かにUターンをしてそのままゆっくりと歩きだした。
…はずだったのに。
「お!真琴!」
健太のその声にビクッと反応してしまい、思わず足が止まってしまった。
…もう、バカ健太!
何で空気読まずに気付いちゃうかな。
「ウォーキング終わったのか?」
聞こえてくる声に背中を向けたまま、私はボソッと言葉を返した。
「終わりましたけど」
最初のコメントを投稿しよう!