あの男が現れました

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「はじめ…まして、健太の幼なじみの…大月真琴です」 嫌で嫌でたまらないけど、視線が合わないようにしながらとりあえずそう挨拶した。 「あっ…れ?どこかで見たことあるような…」 だけどそんな反応に動揺してしまい、私は一瞬だけ彼の方を見てしまった。 すると、すぐに繋がった視線。 やっぱり間違いなくあの時のあの人だ。 「健太さーん!すいませんちょっとお願いします!」 その時、嫌なタイミングで受付カウンターから女性スタッフの声が響いた。 「すいません、ちょっと行ってきますね」 はぁ!? 「ちょっ、ちょっと健太!」 呼び止めの声なんてまるで無視の健太はスタスタと歩いていく。 …嘘でしょ。何で私がこの人と二人で待たさせられなきゃなんないの。 思わずこぼれたため息。 だけどその時、目の前にいた彼がいきなり手をパチンと合わせたかと思ったら。 「あっ!そうだ、今思い出した!傘の子だ」 目を丸く見開いて私をジッと見つめた。 ……はい?傘の子だ? 「そうだよね?」 爽やかな笑顔が癪に障る。 そうだよね?って何なの? つい数日前にはあんな態度をとってきたくせに、180度違うその感じは何なんですか。
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