1415人が本棚に入れています
本棚に追加
「はじめ…まして、健太の幼なじみの…大月真琴です」
嫌で嫌でたまらないけど、視線が合わないようにしながらとりあえずそう挨拶した。
「あっ…れ?どこかで見たことあるような…」
だけどそんな反応に動揺してしまい、私は一瞬だけ彼の方を見てしまった。
すると、すぐに繋がった視線。
やっぱり間違いなくあの時のあの人だ。
「健太さーん!すいませんちょっとお願いします!」
その時、嫌なタイミングで受付カウンターから女性スタッフの声が響いた。
「すいません、ちょっと行ってきますね」
はぁ!?
「ちょっ、ちょっと健太!」
呼び止めの声なんてまるで無視の健太はスタスタと歩いていく。
…嘘でしょ。何で私がこの人と二人で待たさせられなきゃなんないの。
思わずこぼれたため息。
だけどその時、目の前にいた彼がいきなり手をパチンと合わせたかと思ったら。
「あっ!そうだ、今思い出した!傘の子だ」
目を丸く見開いて私をジッと見つめた。
……はい?傘の子だ?
「そうだよね?」
爽やかな笑顔が癪に障る。
そうだよね?って何なの?
つい数日前にはあんな態度をとってきたくせに、180度違うその感じは何なんですか。
最初のコメントを投稿しよう!