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なんだか無性に腹が立ってきた。
「そうですけど!」
私はあからさまに不機嫌な態度を見せながら彼からさっと目を逸らした。
「やっぱりそうか、でもビックリだなぁ~健太の幼なじみだったなんて。世の中狭いもんだね」
しらじらしい人だ。
本当、世の中狭すぎなんですけど。
「まぁ、これも何かの縁だしこれからここで顔を合わすこともあるだろうから」
何かの縁って何の縁?
っていうか、その爽やかスマイルは何?
「俺は青山 大樹です。よろしくね、真琴ちゃん」
よろしくね…真琴ちゃん?
ふざけんじゃないわよ、何なの?
何この優しそうな態度は。
やっぱりこの人ツンデレ!?
態度の振り幅が大きすぎてついていけない。
「あっ、ごめん。勝手に真琴ちゃんなんて呼んじゃって。馴れ馴れしいよね」
なのに、どうしてなんだろう。
ムカつくはずなのに、こんなことを言われちゃうとよく分からない感情が生まれてきて。
「大月さん?だっけ?そっちの方がいいよね」
申し訳なさそうに苦笑いを浮かべた彼の姿に、私は思わず言ってしまった。
「…いえ、真琴で…大丈夫です」
バカだなって思いながらも、そう答えてしまってたんだ。
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