あの男が現れました

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「健ちゃんがね、今日から糖質制限だとかで夜は毎日このメニューでって言ってるの。それから朝は健ちゃんがレシピを決めた野菜と果物を使ったスムージーを飲むんだって」 野菜と果物のスムージーだ? つまりは固形物じゃなく液体じゃないか。 「あ、でもねお昼は800キロカロリー以内なら好きなものを食べていいって言ってたから、お昼ご飯はそのカロリー内で好きなものを食べれるわよ」 好きなものを食べれる? でもそれってそのカロリーの中でおさまるだけしか食べちゃダメってことでしょ? 「良かったわね、運動だけじゃなくて食事管理もしてもらえるなんて」 母はニコニコしながら私を見ている。 はい?全然良くないんですけど。 「あ、お母さんもね、しばらく真琴と一緒のメニューにするから。それからお父さんも。ちょっとメタボ気味だからこの際ちょうどいいかなって。真琴のダイエットに付き合ってもらうつもりよ」 母はそう言いながら私と同じメニューのサラダを食べ、赤いスープを飲んでいた。 「はぁっ…」 渋々私も箸を持ち、サラダを口に運んだ。 野菜とノンオイルドレッシングの組み合わせは、想像通りでマズい。 せめてごまドレッシングならなぁ。 スープもトマトの味だし。 肉が入っているとはいえ、弾力のあるササミだ。 パサパサしてる。 運動だけでも疲れていた私なのに、ただ食事をするだけで、さらに疲れてしまっていた。 毎日これが続くとか…考えただけで気が滅入る。 やっぱり健太は鬼。 鬼インストラクターだ。
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