女なんだから

5/14
1363人が本棚に入れています
本棚に追加
/319ページ
「はぁっ、はぁっ…」 歩き始めて10分。 相変わらず息切れは激しい。 隣で歩いている細身の中年女性は涼しい顔をしているというのに、私の額からはもう汗が吹き出している。 30分もすれば今日も滝のような汗が流れ出していた。 だけど今日の私は違う! 流れてくる汗をタオルで拭いながら背筋をピンと伸ばして歩き続けた。 健太に教えられている通り、姿勢にも気をつける努力を始めている。 こうして意識するだけでも体はどんどん変わっていくらしい。 その言葉を信じてプログラムの時間通りにウォーミングアップを済ませると、昨日と同様の背筋トレーニングと仕上げのウォーキングまでほとんど休むことなく一気に終わらせた。 「お疲れ!昨日より一時間も早く終わったな」 「うん!やれば出来る子だからね」 「ははっ、いつまで続くやら」 健太にはそう言われたけど、絶対続けてやる!と心の中で決めていた。 正直背筋トレーニングはきつい。 歩くのだって始まりと終わりでは全然違う。だけど… 「ねぇ、健太」 「ん?」 聞こうかどうか迷ったけれど、とりあえず聞いてみることにする。 「あの、昨日のさ、あの人」 「あの人?」 「あのっ、青山…さんって人さ」 「あぁ、大樹さんがどうした?」 …どうしたっていうか。なんというか。 「あの人って、よくトレーニングに来るの?」 私が聞くと健太はぶはっと吹き出すように笑った。 「だいたい火曜と木曜。時間は決まってないけど午後から来て2時間くらいやって帰る感じかな」 火曜と木曜…ってことは、今日は水曜日だから…明日は来るかもってことだよね。 「そうなんだ」 「えぇ、そうなんですよね~」 健太はこっちを見ながらニヤニヤしている。 何ニヤついてんのこいつ。
/319ページ

最初のコメントを投稿しよう!