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なんだかんだ言っても、健太はいつもこうだ。
昔から私を怒らせることが大得意だけど、ピンチの時に私を助けてくれるのは、いつも健太だった。
今だってそう。ひとりでウォーキングに行くと言ったはずなのに、どういうわけか健太は現れてくれて……。
「っていうかさ。私ひとりで行くって言ったのに、どうして来たの?」
「どうしてって?」
「うん。だってほら、健太が現れてくれるなんて思ってなかったから」
私がそう言うと、健太はうーんと眉をしかめながら頭を掻いた。
そして、何故か視線をそらされたかと思ったら。
「一応……あれだよ」
ボソッと小さな声が聞こえて。
「何?あれって」
私がそう聞き返すと、やや早口気味に健太は言った。
「だからー、お前みたいなやつでも一応女なんだから」
……?女…なんだから?
お前みたいなやつでも…?
「朝晩の一人歩きは危ないだろ」
「あっ…うん……」
「って思ったから……来てやっただけだよ」
健太はそう言うと、スタスタと先に歩き出していく。
結局、優しいんだ。
あんな風に言ってたくせに…こんなデブの幼なじみでも、ちゃんと女の子扱いしてくれている。
そう感じた瞬間、なんだか胸の中が温かくなった。
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