女なんだから

14/14
前へ
/319ページ
次へ
女なんだから……か。 自然と湧いてくるヤル気に、私の足は軽やかに動きだしていく。 すると、空一面を覆っていたはずの雲の切れ間から、わずかにのぞいた太陽が私たちを明るく照らした。 力になってくれている健太のためにも、もちろん自分自身のためにも。 今回だけは、絶対に逃げちゃダメだ。 綺麗になって、絶対に生まれ変わる。 「お先に~!」 早歩きで前を歩いていた健太を、私はそう言いながら追い抜いてみせた。 すると健太も負けじとすぐに私を追い越してきて。 しばらくはその繰り返し。 「結構動けるデブだよな、真琴って」 「っていうかさ、そのデブって言い方やめてくれない?ぽっちゃりとか言い方あるでしょ」 「ぽっちゃり?お前さー、まだぽっちゃりとか呼べるレベルじゃないから」 「……そ、そうなの?」 たまに横並びになると、そんな会話をしたりした。 「そうに決まってんだろ、ほら、行くぞ!」 「ちょっと待ってよ~!」 離れていく背中を追いかけながら、私はふと思った。 健太は、アメとムチの両方を非常にうまく持ち合わせている。 ただ厳しいだけの鬼インストラクターではなさそう。 だからこそ、私のヤル気は向上していくような…そんな気がした。
/319ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1457人が本棚に入れています
本棚に追加