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女なんだから……か。
自然と湧いてくるヤル気に、私の足は軽やかに動きだしていく。
すると、空一面を覆っていたはずの雲の切れ間から、わずかにのぞいた太陽が私たちを明るく照らした。
力になってくれている健太のためにも、もちろん自分自身のためにも。
今回だけは、絶対に逃げちゃダメだ。
綺麗になって、絶対に生まれ変わる。
「お先に~!」
早歩きで前を歩いていた健太を、私はそう言いながら追い抜いてみせた。
すると健太も負けじとすぐに私を追い越してきて。
しばらくはその繰り返し。
「結構動けるデブだよな、真琴って」
「っていうかさ、そのデブって言い方やめてくれない?ぽっちゃりとか言い方あるでしょ」
「ぽっちゃり?お前さー、まだぽっちゃりとか呼べるレベルじゃないから」
「……そ、そうなの?」
たまに横並びになると、そんな会話をしたりした。
「そうに決まってんだろ、ほら、行くぞ!」
「ちょっと待ってよ~!」
離れていく背中を追いかけながら、私はふと思った。
健太は、アメとムチの両方を非常にうまく持ち合わせている。
ただ厳しいだけの鬼インストラクターではなさそう。
だからこそ、私のヤル気は向上していくような…そんな気がした。
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