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でも、一体どうしてなんだろう。
何でこんな私に、あの人はわざわざ傘を持たせてくれたんだろう。
良い人過ぎない?
赤の他人、オマケにこんな女なのに…優し過ぎだ。
きっと心が綺麗な人なんだと思った。
見た目とか気にせず、誰にでも優しい、そんな人なんだと思った。
ふと傘の持ち手部分を見ると、何かが刻印されていることに気が付いた。
DAIKI.A…?イニシャルだろうか。
ダイキさん?
わざわざ傘にネームを入れてるなんて、なんてかっこいいんだろう。
でもそんな傘を私なんかにもたせてくれたなんて……そう思うと胸の奥がキュッとなった。
一瞬で恋に落ちていた。
身分は十分わきまえていたはずだったけれど。
時すでに遅し。
私はもう、傘を貸してくれた彼に落ちてしまってたんだ。
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