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今まで順風満帆できた、巳ノ助には、その敷居を跨ぐこと自体が、不安に駆られていた。
神頼み・・・
その言葉が今の現実だと思った足取りは重く、一歩踏み出す勇気を背に受けて行った。
厳粛で重厚感に包まれた部屋に入り、妻と座った直後に・・
「何で来たか、言わなくても分かるよ」
巳ノ助は、心臓の高鳴りが、相手に分かるのではないかと思うほど、息がつけないほどであった。
名前と住所に年齢を紙に書いて、女性に渡した。
「なるほど・・・色々商売してる様な運勢ではあるが、船の神に護られてはいないなぁ!そうであろう?」
巳ノ助と妻は顔を見合わせて、頷いていた。
2人の事は全く見ずに、又、告げ始めた。
「災いは人!他の船頭達には、あまり大漁続きだと、妬み心で神社の片隅に建っている、お百度参りに不幸を祈願している、あるまじき人間の仕業。」
2人は背筋が凍る言葉に震えた。
「なぁーお前さん。あるまじき人を、正すには、普通の人では船の守り神には出なれないんだよ!」
「じゃぁー始めるとしよう」
白服にまとった女性の手には、お祓いをする為、なにやら言葉を発していた。
いきなり、紙に 文字を書 いた。
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