大好きなんです

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 ジリリリリリリリッリンッ!目覚ましの音に起こされて起床。  伸ばした手を引っ込め再び目を閉じて、ハッ!と飛び起きる。あまりにも心地よくて、危うく二度寝をするところだったわ。  ベッドから降りて「んーっ!」って伸びをしてカーテンを開けて。よし、今日も天気がいいわね。  キッチンへ移動するといつものようにお湯を沸かして、朝食のトーストを焼いている間に着替えを済ます。  焼き上がったトーストにハチミツを塗ってからお皿に置いて。先に洗濯物を洗濯機にかけて、沸いたお湯でハーブティーを淹れて。ヨーグルトを冷蔵庫から取り出して椅子に座る。 「いただきます」  ちょっと時間を置いたから冷めちゃってるけど、いい感じにハチミツがパンに染み込んで。かじりつくたびにカリッジュワッとハチミツがにじんで美味しいのよ。  朝食はいつもトーストとヨーグルトとハーブティーの3点セット。トーストに塗るハチミツやジャム、ヨーグルトに混ぜるジャム、ハーブティーの種類はその日の気分。  ハーブは自家栽培なのよ。増えすぎちゃったら小分けにして、時々店頭で売ったりもしてる。近所の若い女性や、意外にも独り身らしい年配の男性にも人気なのよね。  朝食が終わったら洗濯物を干して、1階に降りる。うちはね、2階が家で1階が店なの。  お花屋さん。都心から外れた場所にある、常連客くらいしか来ないような小さなお花屋さん。それでも、お花屋さんになるという小さい頃からの夢がかなったから。  1人で切り盛りするのはとても大変だけど、近所のおじさんやおばさん達に助けてもらって何とか楽しく続けられる。  ガラガラガラガラッとお店のシャッターを開けて、店内に片づけていたお花達を外に連れて行く。温かいお日様の光を浴びてなんだか嬉しそう。  それから切り花を入れている冷蔵ショーケースの中を点検……しようとして、何かが視界の隅に見えた。  毎日同じことをしているから、いつもと違うことにはすぐに気づく。何かが足元に見えたの。数歩戻って、視線を下に向ける。
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