本日は閉店なり

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「あれ、今日は店を開けないんだね?」 「定休日なんです。だから今日は買い出しに出かけますよ、もちろんアソラさんも一緒に!」 「な、なんだかやけに嬉しそうだね。買い出しって、花の買い付け?あぁ、食料とか日用品の方か。もしかして俺を荷物持ちにフル活用しようとしてる?」 「そんなんじゃないですっ!荷物は持ってもらえると助かりますけど。フフフッ、ちょっとした楽しみがあって」  今日は「フラワーショップミサキ」の定休日。買い出しと休息の日。  近所の――とはいっても町のはずれにあるからお隣さんとは見えないくらい離れてる――商店街に必要なものを買いに行くの。  その買い物の最後に、あたしの楽しみがあるのよ。この楽しみのために毎日頑張ってるって言っても過言じゃないわ。  あたしが大好きなあの子に会いに行くの。一目惚れしちゃった可愛いあの子。きっとアソラさんも気に入ってくれるはず。  荷物を確認して、しっかり戸締りをしてアソラさんと一緒に商店街に向かう。さて、何を買おうかしら? 「偉いね。ちゃんと、買うものをあらかじめリストアップしてるんだ?この、ハリー君のオヤツって?」  やけにそわそわして落ち着かないアソラさんが、あたしの手元を覗き込む。一応は買うものを書いてるんだけど、いつも余分に買っちゃうのよね。 「着いてからのお楽しみってことで。えーと、まずはアソラさんの洋服とか日用品をそろえなきゃ」  財布も何も持ってないアソラさん。男物の着替えなんて持ってないもの。衣服と歯ブラシも買って、食器は来客用で足りるからいいわね。絶対に使うようにするんだから。  金額を設定して好きなのを選んでもらったら安く済んだわ。気を使わなくても良かったのに。早く選んでくれたから、次の店へ。
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