大好きなんです

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「えっ!?」  ここはサスペンスドラマの現場か何かですか?人が倒れているんですけど。お日様に照らされてキラキラしてる真っ白い髪の毛がボサボサの、若い男の人がうつぶせに倒れています。  しゃがんで、彼の様子をじっくり眺めてみる。あ、黒縁メガネをかけていますよ。顔色がすごく悪いんだけど。  ピクリとも動かないんだけど、生きてる?どうしよ、怖いなぁ。八百屋のおばちゃんに相談しようかなぁ。  でももし、気絶していると見せかけて油断した隙に店のお金を盗んだり襲ってきたりする怖い人だったらヤバいし。  どうしようかと悩んでいたら、彼は「う、っ……んん……」って目を開けたの。顔を上げて、日光が眩しいのかしら目をシバシバさせて。  光が入り込んだ彼の深い空色の綺麗な瞳にドキッとしちゃった。だって、まるで宝石のアウイナイトみたいで綺麗なんだもの。 「あ、あ、あのっ……大丈夫、ですか?ずいぶんと顔色が悪いですけど、どこか具合が悪いのなら救急車を呼んで――」 「花……いい匂いがすると思ったら、やっぱり花屋……」  勇気を出して声をかけてみたんだけど、彼の深い空色の瞳にあたしは全然映っていないわ。あたしの後ろの、色とりどりのお花達に釘付け。  犬みたいにクンクン鼻をひくつかせて、ゆっくり起き上がるとフラつきながらも周りを見渡す。で、やっとあたしに気付いた?  その距離、約30センチ。近いです。とっても近いのにジィーっとあたしの顔を凝視して、瞬きもしないで動かなくなっちゃった。  そんなに穴が開きそうなほど見つめても、あたしはあなたとは初対面ですよ。「この人誰だっけ?」みたいな顔をしてるけど。  やがて初対面だってわかったみたい。小さく溜め息を吐いた彼が口を開くと「ぐぅぅぎゅるるるるぅーー」と大きな音が鳴った。
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