大好きなんです

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 花妖はアソラさんの体から発せられる力と、あたしの“怖い”を吸収してどんどん成長を続ける。また大きくなっているのよ。  力も強くなって、アソラさんが命を失うのは時間の問題。なのに彼は、深い空色の瞳は光を失わない。 「は、腹が減った……うあっ!く、ぅ…………もう少しなら耐えられるから、お願い、持ってきて。早く。君にしかできないんだ」  花妖のビンタを食らってあたしの足元に転がってきたアソラさんは、荒い息を吐きながらあるものを持ってくるようあたしに言った。  そんなもので倒せるの?確かに、それはこの花妖の苦手なものだと思うけど。バケモノに通用するの?  やられながらの防戦一方でもうフラフラの彼が言うんだもの。信じるほかないわ。彼の言葉は強い、魔法の言葉。  それまでずっと動けなかったあたしの足は店の中へと踏み出し、キッチンへ。手洗いの蛇口に散水用のホースをつなげて、いつもは使わない方の蛇口をひねる。  ホースの先にあるノズルガンを持って大急ぎで彼の元へ走ると「はいっ!」と手渡した。  瞬間、うつぶせに倒れていた彼がグルンッと仰向けになりながらレバーを握り込むと先から勢いよくジェット噴射。  まるで本物の銃で撃ち抜くみたいにノズルガンの先から放たれた熱湯は、花妖の顔を直撃。 「きゃぁぁああぁぁぁぁぁぁっ!!!!」  耳をつんざくような絶叫。すると花妖の腕から生えている葉や花が、鮮やかな黄色い髪がどんどん白っぽくなってきた。  もがき苦しむ花妖に追い打ちをかけるようにさらに熱湯をかけ続けるアソラさん。すると今度は足、根が黒くベトッとふやけて、腐ったような臭いがしてきたわ。  熱湯から立ち上る真っ白い湯気に包まれて、悶絶する花妖がだんだんしぼんできた?うっ、湿気と異臭で吐きそう。  口を手で覆って1歩下がると、ついに花妖は倒れた。バシャッ!と、熱湯の水溜まりの中に落ちて湯気で姿が見えない。
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