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「じゃあ…電車の時間もあるしそろそろ帰ろかな」
日付けが変わる少し前。
椎名のその言葉に私はたまらない寂しさを感じた。
「椎名も明日から大阪帰るの？」
「うん、莉奈さんも明日から帰るんやろ？」
「うん」
「じゃあ…次会えるんは4日やっけ？」
立ち上がった椎名を見上げながら、そうだね、と言葉を返した。
「じゃあ、そろそろ行くわ」
「うん」
コートを着る椎名を見つめていると、胸がキュッと締め付けられた。
離れたくない。
離れるのが怖いと思った。
どうしてだろう。
たった数日でも、会えなくなるのが怖かった。
「も…もうちょっとだけ…一緒にいてくれないかな…」
気が付いたら、私は後ろから椎名を抱きしめていた。
大きな背中に、おでこをトンっと当てる。
もう少しだけでいい。
そばにいてほしい。
「俺も」
椎名はそう言うと、腰に回していた私の手をそっと掴んだ。
そしてゆっくりと振り返ると、優しく私を抱きしめてくれた。
「俺も同じこと思ってた」
えっ？
「もうちょっと一緒にいたいなって。でも明日から実家に帰るって言ってたし、遅くなって困らせたらあかんなって思って…」
そう言いながらギュッと強く抱きしめられた。
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