溢れた涙

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次に目を覚ました時には、もうお昼前になっていた。 枕元にある携帯を見たら、11時半を過ぎている。 こんなに寝てたんだ…あくびをしながら携帯を手に取ると夜中の4時頃に椎名から着信が入っていたことを知った。 もしかしたらそんな時間まで飲んでたのかな。 すぐに電話をかけ直したけれど、椎名は出なかった。 「やっと起きたのね」 「もう昼だぞ、寝過ぎだ」 パジャマ姿のままリビングに行くと、父と母が呆れたように私を見て笑う。 「二日酔いになってない?」 「うん、ぐっすり眠れたし全然大丈夫。スッキリしてるくらいだよ」 「ははっ、呑気な奴だな」 リビングに響いたお父さん達の笑い声に、私もつられて笑った。 「そうだ、莉奈今日の夜忘年会って言ってたわよね?」 「うん、ほら毎年あるじゃん、地元の集まり。今年もするらしいから顔出してって言われてるんだ」 「そう。明日は竜二達も帰ってくるしあまり遅くならないように帰ってきなさいよ」 「はーい」 母にそう返事をすると、隣で父がクスッと笑った。 「何?何かおかしかった?」 「いや、お前は毎年変わらないなぁと思ってな」 「そう?」 「あぁ」 新聞を広げながら頷くお父さん。 毎年変わらない、か。 成長ナシ? 父と母は、私のことをどう思っているんだろう。
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