溢れた涙

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確かにみんな、だんだん変わってる。 サキと同じ。 動き回る子供に合わせて、動きやすいような服を着て、化粧も薄くなった。 長い髪は束ねているか短い髪型かのどちらかだ。 綺麗に髪を巻いて、オシャレをして来ているのは…私ぐらいか。 「そういえばナツキは?」 ふと思い出し、隣に座るアキエに聞いた。 「あぁ、妊娠中らしくて今つわりひどいんだって。だから今日やめとくって」 「えっ、ナツキ、結婚したの?」 「らしいよ」 そっか、と明るく答えながらも、内心複雑だった。 毎年恒例の、この年末の地元の集まり。 昨年独身だったのは私とナツキだけだった。 それが、今年はついに一人になった。 嫉妬? 羨ましい? エリの結婚が決まった時と同じような感情が心の中で渦巻いていく。 一人取り残されたみたいな、そんな気分。 みんなきっと悪気はない。 「ってことは次は莉奈だね」 「子供も早く生まなきゃ育児の体力もたないよ」 「そうだよね、30超えてからの出産は大変そうだから早い方がいいかも」 悪気はないから、その言葉に傷ついているなんて、思っていないんだと思う。
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