家族になるということ

2/10
前へ
/353ページ
次へ
大晦日は、とても賑やかだった。 お兄ちゃん家族が帰ってきて、六歳の甥っ子と四歳の姪っ子がいるせいか、父の目尻は下がりっぱなし。 兄の奥さんの詩織ちゃんは、母とキッチンでおせち作りをしている。 「莉奈お姉ちゃんあそぼ!」 「うん、何して遊ぶ?」 「かくれんぼ!」 無邪気に遊ぶ子供達の遊び相手は必然的に一番年齢の若い私の担当だ。 「じゃあお姉ちゃん鬼になるからね。10数えるから隠れてよ!いーち、にー、さーん……」 来てからずっとこの調子。 かれこれ三時間くらいずっと遊んでいる。 「ちょっとお兄ちゃんそろそろ代わってよ」 「何だもう疲れたのか」 さすがに三時間が経とうとした頃には私もギブアップ。 子供の体力についていけなくなった情けない29歳だ。 「お前、子供がいたらこんなの毎日だぞ?これくらいで疲れてちゃ、先が思いやられるな」 兄はそう言って呆れたように笑う。 確かにそうだけど…そう思いながらも疲れ果てていた私はソファに腰をおろすとフゥッと息を吐いた。
/353ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1519人が本棚に入れています
本棚に追加