家族になるということ

3/10
前へ
/353ページ
次へ
「それより、どうなんだ?最近」 テレビを見始めた私に兄がふいに問いかけてきた。 「何が?」 「や、お前も29になっただろ?来年には30だし、そろそろ良い報告とかないのかよ」 「は?ほっといてよ」 私がそう答えると、お兄ちゃんはまた呆れたように笑う。 「お前、結婚する気ないの?」 「…あるわよ」 「彼氏は?出来たのか?」 「……まぁ…」 そう答えた直後、何故か突然父が咳き込んだ。 「じゃあ早く紹介しろよ、親父も母さんもなんだかんだで心配してんだからさ」 「竜二!」 だけどお兄ちゃんのそんな言葉に、父はストップをかけるように大きな声を出した。 「くだらんことは言わなくていい。ほら、遊んでこい」 そしてお父さんがそう言うと、お兄ちゃんはばつが悪そうに子供達の遊んでいる和室へと入っていった。
/353ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1519人が本棚に入れています
本棚に追加