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「気にするな、あいつの言ったことは」
父は新聞を読みながら、優しく私にそう言ってくれた。
だけど、心の中にはいろんな想いが生まれていく。
本当は心配してるの?
お兄ちゃんにはそんな話をしてるの?
お父さんもお母さんも私には言ってこないけど、やっぱり心配してるんだよね?
何だかその場に居づらくなった私は、母達のいるキッチンへと入った。
「詩織ちゃん、これはこっちに入れておいてくれる?」
「はい、わぁ、美味しそうー!」
「ちょっと食べてみる?」
「いいんですか!?じゃあつまみ食いさせてもらおうかな。んっ、美味しい!」
だけど、仲良さそうに肩を並べる母と詩織ちゃんのやりとりを目にすると、邪魔になるかと気が引けてきて。
キッチンから出て自分の部屋に戻ると、ベッドに横になり私はそのまま目を閉じた。
お義母さん…か。
私もいつか結婚して、誰かの奥さんになったら義理のお母さんができるんだよね。
あんなふうに仲良く肩を並べられるのかな。
サトルのお母さんとは何度も会ったことがある。
実家にも何度も一緒に連れて行ってもらった。
息子のサトルよりも彼女である私を気にかけてくれる、優しいお母さんだった。
椎名のお母さんはどんな人なんだろう。
お父さんはどんな人なんだろう。
妹さんも、どんな人なんだろう。
もし私が椎名の実家に一緒に連れて行ってもらったら?
絶対に驚くとだろう。
年齢を知ったら?
きっと、もっと驚くはずだ。
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