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「ただいま…」
家に着き玄関を開けると、独り言をつぶやきながら暗い部屋に電気をつけた。
当然ながら、誰もいないんだけど…。
だけど、いつからかこの家も落ち着つくようになった。
そりゃそうだ。
一人暮らしも長くなってくると、静かなこの空気にも慣れている。
荷物を解き、片付けを済ませた頃だった。
ブーッブーッ、とテーブルの上で携帯が震えた。
「もしもし？」
「あ、俺です」
「分かってるよ」
「ははっ、そうっすよね。莉奈さんもう家帰ってる？」
「うん、さっき帰ってきたとこだよ」
「そうなんや！俺、今東京駅着いたからお土産持ってそのまま行っていいですか？」
断る理由なんてない。
むしろ…早く会いたい。
うん、と答えると椎名は嬉しそうに今から行くと言って電話が切れた。
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