初詣の願い事

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並んでいた列が進み、私達が参拝する番になった。 二人で並んで、お辞儀をしてお賽銭を入れて。 鈴を鳴らすと、ゆっくりと手を合わせた。 今年も、もっともっと椎名と一緒にいられますように。 もっともっと幸せな時間が増えますように。 そう願った時、欲張りになっちゃダメだと分かっていたはずなのに、頭の中ではもうひとつの願いが浮かんでいた。 結婚…できますように。 出来ることなら、椎名とそれが叶いますように… 神様… 「願えた?」 ゆっくりと目を開けると隣にいた椎名がそう言って私を見おろしていた。 「うん、願えた」 叶うかは分からないけどね…。 心の中でそう思いながら、差し出された手をギュッと握る。 この手がずっと繋がってたらいいな。 ずっと私だけの手だったら、どんなに幸せなんだろう。 「よっしゃ!大吉!」 「ウソ…私、凶なんだけど」 参拝を済ませた私達は新年の運試しにと、おみくじを引いた。 椎名は大吉。 私は凶だった。
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