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「美味しい！」
作った炒飯を綺麗に食べてくれると、今日も椎名は率先して洗い物をしてくれた。
不思議だなと思う。
椎名がこうしてここにいることも、洗い物をしてくれてる姿も、だんだん見慣れてきてる。
結婚しても変わらないのかな？
洗い物とか、こんな風に変わらず手伝ったりしてくれるのかな？
毎日椎名の笑顔が見られたら…どんなに幸せなんだろう。
そんなことを考えながら穏やかな気持ちでソファに座っていた。
「なぁ…聞いていい？」
だけど、洗い物を終えた椎名がそう言って隣に座った直後、そんな穏やかな気持ちは一瞬にして変わってしまった。
「ん？何？」
「あれ、どうするつもりですか？」
椎名の視線の先を辿った。
そこには、サトルに渡されたままになっていたあの紙袋があった。
「あっ…すっかり忘れちゃってた…」
「忘れてたって、どうするつもりなんですか？」
「うん…返そうと思ってるんだけど…」
「捨てていいって言ってたやん、あいつ」
確かに言ってた。
でも…
「捨ててや、今」
「えっ…？」
「必要ないんやろ？俺、莉奈さんのとこくる度に、いつもあれが視界に入ってきて…嫌やねん」
椎名はそう言うと、はぁっと大きなため息をついた。
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