鳴らない電話

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ブーッブーッ… えっ? ソファでうたた寝していた時だった。 携帯が震える音で目が覚めて、慌ててそれを手にした。 椎名かもしれないと一瞬期待したけれど、その相手は…サトルだった。 「もしもし」 「あ、莉奈?今ひとり?」 「うん…」 「そっか。休みだからあいつといるのかと思った」 サトルは優しい口調で言葉を続ける。 「あのさ、そろそろ答え…聞かせてくれないかなと思って」 「あぁ、うん…」 「やっぱり…ダメだよな…」 「……」 「よく考えたら俺、マジで自分勝手過ぎるし…ははっ、俺なんかが莉奈にプロポーズする資格なんてなかったんだよな」 サトルはそう言うと、寂しそうな声で笑った。
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