鳴らない電話

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これから私はどうしたいんだろう。 考えさせてほしいと言ったけど、距離を置いているのに答えはまだ見つからない。 椎名と付き合っていくと決めたとしても、ちゃんと元に戻れるのか自信がない。 だけど、椎名に会いたくなる。 会えなくてもいい、声を聞きたくなった。 プルルルルル… コール音に耳をすませる。 あの日以来、私は初めての電話をかけてしまっていた。 「もっしもーし!」 騒がしい空気が電話越しに伝わってきた。 「あっ…椎名?」 ドキドキしながら聞くと、すぐに大きな声が耳元に返ってくる。 「残念!同期の大原でーす!」 酔っているからか、やたらとテンションの高い声。 「えっ、あ、大原くん?あの…椎名は」 「つーかさー、松永のおかげで俺、五万損しちゃったじゃん」 「五万?損って…何を?」 訳のわからない言葉に、私はすぐにそう聞き返した。 「ちょっ!大原さん!勝手に人の携帯でんといてくださいよ!」 「いや、だってお前トイレ行ってたから」 聞こえてくる、椎名の声。 そして、騒がしい電話の向こうの雰囲気の中、耳元で椎名の声が響いた。 「えっ、莉奈さん?」 「……うん」 「あぁ…ごめん!今カラオケ来てて。ちょっと待って」 「うん」     
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