鳴らない電話

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椎名は知らないのかな。 私が休んでいること。 いや、もし知っていたとしても…もう気にもならないのかもしれない。 「はぁっ…」 息苦しい。 吐く息が熱い。熱いのに、体は寒い。 椎名に電話をかけたかった。 そばにいてほしいって、言いたかった。 だけどできなかった。 あれから電話だってかかってこないんだ。 またこっちから電話をかけるなんて…今の私にはできない。 携帯を見つめながら、同じ画面の中に映る文字にふと目が止まる。 それは、サトルの名前だった。
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