鳴らない電話

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「あっつ!マジで熱すぎだろ!」 サトルは家に来るなり私のおデコを触ると、そう言いながら買ってきてくれた熱さましのシートをおデコにピタッと貼ってくれた。 「首の後ろにも貼っとくか?」 「うん」 そして首の後ろにも、そっと優しくシートを貼ってくれた。 「ありがと」 「おー。つーかうどんとかなら食えるか?買ってきたんだけど」 「うん、食べたい」 「ははっ、食べたいのかよ。ま、食欲あるのは良いことだ。とりあえずこれ飲んで待ってろ」 サトルはそう言うと私にスポーツドリンクを渡してすぐに部屋から出て行った。 開いたドアの隙間から聞こえてくるキッチンからの音。 サトル、手際いいんだよね。 男のくせに料理とかするし。 しばらく待っていると、サトルが部屋まで作ってくれたうどんを持ってきてくれた。 「お肉入ってるじゃん、卵も!……ネギも」 見た瞬間、思わず声が大きくなる。 「素うどんと思ったか?ちゃんと莉奈の嫌いなネギも入れといたぞ」 「入れすぎじゃない?」 「ははっ、いいから黙って食え」 「はーい…」 不思議な空間だった。 別れているのに、まるであの頃のようだと思った。
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