鳴らない電話

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ピーンポーン… その時だった。突然インターホンの音が部屋に鳴り響いた。 時刻は4時過ぎ。 夕方のこんな時間に、一体誰? そう思った瞬間、ふと浮かんだ人物。 まさかね… 「起きて大丈夫か?」 「うん」 体を起こし、インターホンのモニターをすぐに見に行った。 ウソ…どうして… モニターの液晶画面に映っていたのは、頭に浮かんだ通りの椎名だった。 どうして?まだこんな時間なのに。 私はモニターを見つめたまま、動けずにいた。 「大丈夫か?あっ……」 背後から聞こえるサトルの声。 「マズイな、今は出ない方がいい」 「うん…」 確かにこんな状況で出られるわけない。 せっかく来てくれたのに… ピーンポーン… 再び鳴り響く音に動揺しながらも、私はそのまま居留守を使うしかなかった。
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