鳴らない電話

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モニター画面が消え、静かになった部屋。 「今すぐ出たら鉢合わせる可能性あるし30分くらい経ったら帰るから」 「うん…ごめんね…」 「でもさ、何で莉奈、あんなに年下の男と付き合おうと思ったの?」 「えっ?」 「だって結構歳も離れてるし、お前年下となんて付き合ったことなかったよな?」 そう聞かれて、うんと小さく頷いた。 「そんなにいい男なのか?あいつ」 「うーん…なんかいつでも真っ直ぐだったんだよね、ストレートにぶつかってくるっていうか、まわりくどいとことか全然なくて」 「へぇーっ…」 「でもずっと引っかかってたんだ、年齢の差は。今は良くてもいつかはダメになっちゃいそうだな、とかね。いろいろ思うことはあった」 付き合ってからずっと。 それを考えない日なんてなかった。 一日のうち、一度は必ず考えてしまってた。 だから…心から安心できた日なんて、一日もなかったのかもしれない。
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