鳴らない電話

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「まぁな…今はまだ莉奈も29だけど、今年には30。10年後は40で、あいつは…34か」 「うん…」 「50の時は44。莉奈が還暦の頃は54だ。ま、そこまでいけば大して変わらないような気もするけどな」 サトルは不安な私の心を読み取るように優しくそう言ってくれた。 だけど、やっぱり今の6歳の差は大きい。 「サトル…23の頃、結婚とか考えた?」 「結婚?うーん…したいなとか軽い気持ちはあったけど、ぶっちゃけ真剣にそういうことを考えて付き合ったりはしてなかったかな…」 「だよね…」 「正直言うと莉奈と付き合ってた時も、まだ結婚とかしたいって思ってなかったんだ」 「ははっ、何それひどい話だね」 「ごめんごめん。だからこの一年くらいじゃないかな。真剣に結婚について考えるようになったのは。俺も30代になっていろいろ将来について真面目に考えるようになったってことだよ」 サトルはそう言って笑う。 やっぱり人生のターニングポイントは30歳なのかな。 女の私だけじゃなく、サトルもそうだったと知った今、改めてそんなことを感じた。
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