全てはゲーム

2/14
前へ
/353ページ
次へ
どうしよう、こっちに来る… 会いに来ておいて、どうしようなんておかしいけど、どうしたらいいのか分からなくなる。 「ちょっとここじゃ話しにくいんで、会社出ましょうか。お昼やし」 「えっ、あ…うん」 私が答えると、椎名は足早に歩いていく。 そしてエレベーターに乗り込むと久しぶりに二人だけの空間になった。 だけど、シーンとした静かな空気。 椎名は何も話さない。だから私も黙ったまま。 一階につき会社のエントランスを抜けると、椎名はそのまま歩き続けた。 「ここでいいですか?早川さんと前にランチに来たお店なんです」 そしてとあるカフェの前で立ち止まると、どうしてなのか私にそう言って確認してきた。 「えっ、あぁ…うん」 嫌だなんて言えなくて、黙ってお店へと入った私達。 「僕はBランチにします。松永さんは何にします?早川さんはデザート付きのCランチセット食べてましたよ」 座ってすぐに椎名はそう言うと、店員さんを呼んだ。 「Bランチと」 「Aランチ…お願いします」 注文を伝えながら、いろんな思いが駆けめぐっていた。 早川さん早川さんって何なの? だけど、それよりもショックだったのは、椎名が私のことを松永さんと呼んだことだった。
/353ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1516人が本棚に入れています
本棚に追加